紆余曲折を経たスクリーニングの結果、陽性クローンが取れてきた。
しかし数がすくない!!
以前の経験から考えると格段に数が少ないわけです。かなりやばい感じがしました。しかも1:1のアッセイではそうまあまあの強さのものもあるのだがそれを除けば全然だめだというようなものも多く完全に意気消沈してしまいました。
気を取り直してとにかく陽性クローンをシークエンスすると、論文が一つだけ存在して名前のついているものとESTの中には入っているが機能やなどまったく未知のクローン(clone 518と名付けた)と二種類に分かれるーといっても陽性クローンの絶対数は絶対的にすくないのだがーことが解った。
使ったライブラリーはHA-tagが付いたものであったが、clone 518のframeがあっているかどうかはこの時点では判断がついていなかった。独立したクローンでなく同じものが数個釣れてきていただけだったからだ。とにかくHA-tagごとプラスミドを入れ替えてHEK293細胞で強制発現できるようにして次の段階に進むことになった。
誰が考えても以下の実験くらいはする必要はあった。
つまり免疫沈降、in vitroでの相互作用の検討、HIF-1の活性への影響などなどから始めると同時に、取れているクローンーHA-tagの後に都合よく開始コドンがin-frameで存在したーの実在性(対応するmRNA, 蛋白質が実在するかどうか)の検討などなど。
293細胞に過剰発現させて抗HA抗体での免疫沈降がConnor君によってまず試みられた。みごと玉砕、というか系がworkしていなかったと思う、ぼくの見るところ。
ここら辺からGLSとぼくのConnor君へのプレッシャーがきつくなりとうとうConnor君が登校拒否的な行動をとるようになってしまった。
GLSとぼくで相談して、仕方ないのでぼくも実際に実験をすることになった。
GST-tagのクローンの作成とin vitro interaction assay、reporter assayでのHIF-1活性への影響、HIF-1α transactivation活性への影響などを調べたところ想定していたような属性をclone 518が持つことが判明した。
気をよくしたConnor君は何事も無かったかのように復帰しRACEを手がけることになりぼくは抑制の機序を探るべく新たな実験に突入することになった。
ぼくは、今までしていた実験は当分お預け。
しかし、毎日毎日データが小気味よいほど出てこれほど楽しかった時期はなかったと記憶している。
実験に”失敗”することはほとんど無かった。実験手技はこの時期にはぼくにとっては黄金期にさしかかっていた。
RI切れとかたまにありその場合お昼で実験中止で気体区していたりしていた。このような事態になっても7時に出勤16時には帰り土日は休みという生活はそのままだった。
まったくよい時代でした。
<続きます>